手巻き式懐中時計の修理

2023年11月17日(金)

秋真っ盛り。名古屋駅前 桜通りに並ぶ銀杏も日に日に色合いを変えてゆく、トキの移り変わりを味わいながらの通勤という仕合わせがありがたい。  読書、食欲、芸術、紅葉、収穫したての新米、それぞれの秋が盛りを迎え満ちてゆくのを肌で感じる。 なんといっても 秋は突き抜けて空が美しい姿をみせてくれる!!  大好きな季節です。 日が短くなりなかなか青い空を眺める時間がないのが残念でもあり ながら〜笑。

さて今日は、年代物の時計修理についてのご紹介を。オーバーホール(分解掃除)一式の作業を終えお渡し前の最終動作チェック中の時計達の中に、昭和46年製の鉄道時計が目に留まった…。 手巻きでゼンマイを巻き上げ、針の動きを確認し日差をチェック、手の中でチッチッと小さな音を経てながら時を刻む時計を眺めながら…『この時計52年前から時を刻んでるんだなぁ 』胸の奥がチクン…。

家電、車など電子機器や機械製品など身の周りを見回しても50年以上の時を経て動き使われ続けているモノ、は意外と少ないのではないだろうか。52年前(ちょうど私がこの世に生まれた頃)、現役として当時の国鉄列車を動かす基準として活躍したであろうこの鉄道時計が、今このタイミングで創業20年目の小さな時計屋でオーバーホール(分解掃除)を済ませて改めて時を刻みはじめた…。奇跡のご縁。

この度のご縁に触れるまでに、この鉄道時計はどこでどんな時を刻んできたのだろう、モリモリワクワク勝手な妄想が膨らむ。 人と人、モノと人、土地や景色と人すらをも、何もかも全てはご縁で繋がっている。 不思議な気持ちになるのは私だけじゃないだろう。 『ご縁に感謝』なんていう言葉なんかではとても言い表せない想いが溢れる。  数字はもちろんのコト時間の計算も算数も病的レベルに大の苦手だった私が、こうして時計修理を生業としている事 自体も、そもそもが不思議すぎるご縁の賜物なのだから。

ご縁をいただく全ての時計やジュエリー達とそのお持ち主様にとって、それぞれに良き様になります様に。   そう祈りを込めてただただできるコトを成し携わらせていただく、それが私達小さな時計屋のお仕え事。

日々気づきと学びをいただけることに、感謝しかありません。 

有り難いことです。 関わってくださっている全ての皆様、ありがとうございます!!