続〜年代物の時計修理

2022年9月9日(金)

いつもあれやこれやとぐるぐる頭の中で考えていて心が落ち着かない自分がいる。「まぁまぁ、いつものことだ」とそれを冷静に観ている自分もいる。まるで、そのバランスを調えるためかの様にお店内に静かな時がゆっくりと流れる9月。(創業からの通例) 両極端のはざまに身をおき、落ち着いて穏やかに時を過ごしたいものです。「19歳を迎えた小さな時計屋、流石にそろそろおとなになろ〜よ、わたし!」と叫ぶあたしがいます。

今日のテーマは『続〜年代物の時計修理』

前回、ご紹介しました年代物の手巻きゼンマイ式掛け時計修理の裏話から。もちろん箱物と呼ばれる掛け時計達も定期的にオーバーホールが必要です。昭和中頃まで世の中で広く活躍していたゼンマイ式時計達。それらを治してきた熟練の技術と経験を持つ職人達は高齢化が進んでいる。 それに、実際需要も限りなく少なくなっているのが現状です。 もちろん今は大丈夫です。 ただ、修理受付がいつまでできるのかは正直わからない。 だから、というわけではないけれど、大切にしたい掛け時計があればどうぞメンテナンスの検討はお早めに、お早めに、どうぞ。 これが今の国内時計修理屋のあるある課題!だろう。

腕時計についても同じようなことが言える。年代物の時計修理を受付する修理店は少ない様子。実際、現行モデルのようにはいかないので、手間暇がかかる、そしてトラブルや再修理も無くはない。 受付するのやめようかな、という流れになってゆく。これもあるある課題!

職人と呼ばれる希少価値の高い技術者達が、少しでも気持ちよく従事できるために、業界の裏側を少しでもナニカ変える、きっかけを創れたら!と想い続けてきました。 お陰様で19年目、小さな時計屋は年代物の時計修理に関してはちょっとした得意分野になりつつあるのかしら(笑)

新しいか古いかではなく、大切にしたいモノなのか否か、で判断し、 誰かが大切にしたいモノを、他の誰かが治してあげる。そんな当たり前のことができるこの業界であって欲しいな。

小さな時計屋は、在る限り。そこにこだわり続けたいと、つくづく想うばかりです。『関わるすべての皆様のために』19年前に掲げたこと。 そう、お客さまはもちろん、スタッフとその家族、職人、取引先、同業他社の仲間、皆の為にできることを、できる分だけやり続けたい!

どうぞ皆様のもとに心地よい時が流れますように。

感謝。