タグホイヤーの修理

2021年3月21日(日)

「なるほど、コレはアレだな。」

みたいな…。

そういった思い込み…。  無意識の中で、しがちの私がいます。

なんでも、ちゃっちゃと済ませていきたい、みたいな!? 歩くのも早歩き、なんでも若干

慌てん坊気味、だからかな…。

それって、「ひとつひとつが丁寧ではない」とも言えるのかな…。

いったん、どこかで立ち止まり。

「本当にコレはアレなのか?」と、検証すべきだなぁ〜、と。

『思い込み』について、思い直すきっかけがいっぱいの春分の日でした。

例えばこの時計の革ベルト交換もそのひとつだった。

初めてな訳ではなかったけれど、なんらかの方法で今まで交換できていた。

という記憶や見覚えもあり、いとも簡単にお受けしたものの、革を外すと、

「ケース側にバネ棒を装着する穴が無い!」ケース側に穴をあけなければ、この時計には

革ベルトがつけられないのだということが、ベルトをチョイスいただいた後になって、

分かった…。

詳しくお聞きしてみると一度もメンテナンスをせずに時が経っている、ということでしたので

時計そのもののメンテナンスオーバーホール、革ベルトの加工取り付け、を含めこれを機に、

という事で、お預かりをさせていただくことになりました。

結果、約ひと月後結婚時の想い出と共に綺麗になって気持ちよく時を刻む時計を

手に取りお喜びいただければBESTなのには変わりないものの、

事前にちゃんとご提案出来たら尚よかったのに、て。

その瞬間は、「できるもの」だと、勝手に思い込んでいたわけですよ……。

なんでもそう。

購入当時の想い出や、使い続けた思い入れも深く、なんとか治したい。

そのお声にどれだけお応えできるか、どうしたら期待に対し101パーセントでお応えできるか、

日々考え思考を巡らせています。なんなら24時間そんな事ばかり考えている訳です。

そして、それくらいでなければ、修理屋は本当の意味で成り立たない。

と分かってもいる。

考えてばかりいるから、何もかもがこちら(店側)目線になりがちになってしまうのかも。

そして、お持ち主さまにとって大切にしたいモノだからこそ、こちら(店側)の思い込みは、

許されない時もある。という事を、トラブル無く、事前に気づかせていただいた春分の日だった。

運び屋でもある、お客様方のおかげさまで、時計・貴金属達が大切な気づきを、

そっと、時にはドカーンッと、届けてくれる毎日。

自己中心的な「思い込み」を思い直し「かもしれない」くらいの視座で歩みたいものです。

ひとつひとつ、いちいちを丁寧に。

課題です。